創造、未聞の祈り

書く行為……、両手のなかに顔を埋めて囁かれる祈り、日々のパンのそれへのように並はずれた欲求と主題とをこめた、未聞の祈り。砂、砂、砂。いったい、どこを通っているのか、その小径は?

 

エルザ・トリオレ  /  田村俶『ことばの森の狩人』

 

創造の小径ですって? 創造の大気。創造の空閑地。創造の天空。それの潜勢状態。衝撃、異変、歓喜と有頂天、私どもみんなの地球の震え、もしくは各人の個々の惑星の震え……。創造の小径はそれ自体反響(エコー)のありかを通るのです。想像してみてください、あなたがたは、ご存知のように沈黙の砂漠のなかで創造しているのだと、音を出すために必要とするものをもたぬ、砂粒で出来あがっているあの砂漠で。静寂。

 

エルザ・トリオレ  /  田村俶『ことばの森の狩人』