2021-01-01から1年間の記事一覧

2021/02/02 ーー雨のうたーー

Ame no Uta - A Poem of the Rain 佐藤容子『雨のうた』. .

震える重い水滴ごしに視つめ / すでに活動している冥府

私ひとりのための小説を書くとしましょう。読者ぬきの。実在しそうにない小説。私はひどく哀れな、ひどくみじめな女ですから誰かに秘密を打明けたりしません。私の所有するものは、すこぶる僅かですから、それは金輪際ほかの人と分ちあえるものではないので…

2021/01/29 22:25

〈創造者は、 大宇宙の景色と聾唖者のような砂漠を進んでいく健気な騎士です。 分れ道にさしかかると、 多分しばらく休止しながら、「どの道をとったらいいだろう? こっちを進めば馬を駄目にするかもしれぬ。 むこうの道だと、 自分が道にまようかもしれな…

ひとりの女性として

真実において、女性とか真理は、取り込まれるがままにはならないのです。 真実において取り込まれるがままにならないものは――女性的なのであって、それは女性性(フェミニテ)とか女性の女性性な性性(セクシュアリテ)とか、その他さまざまの本質化する呪物…

省察

「歴史」は、このように、生のささやかな輝きと交替者のいない死によって成り立っている。 ロラン・バルト,沢崎浩平訳「省察」. 午後六時頃、べッドでうたたねをする。窓は曇り日の夕暮のいくらか明るんだ空に向かって大きく開か れていた。 その時、 私は…

創造、未聞の祈り

書く行為……、両手のなかに顔を埋めて囁かれる祈り、日々のパンのそれへのように並はずれた欲求と主題とをこめた、未聞の祈り。砂、砂、砂。いったい、どこを通っているのか、その小径は? エルザ・トリオレ / 田村俶『ことばの森の狩人』 創造の小径ですって…

Nicolas de Staël

The Moon Via Sky Nature morte 1955

アネクドート

それは現実的な場所なのか。それとも、虚構的な場所なのか。どちらでもない。一つの制度がユートピア的な仕方で扱われる。つまり、私はある空間を思い描き、それをゼミナールと呼ぶ。問題の集会が、パリで、すなわち、今、ここで、開かれるというのは事実で…